第1学期(2012年6~10月)28.まだまだ適応途上・・・

連載-インドがわたしの故郷になるまで

 留学生活が始まって2ヶ月半ほど経った8月下旬。それなりに毎週フィールドワークも授業もこなしているつもりだったけど、無視できない問題がだんだんと持ち上がってきた。

一つはフィールドワークの問題、もう一つは私自身の問題だった。

 

 フィールドワークについては「第一学期」の後に書くときにまとめるけれど、私とフィールドワークパートナーのメジは一度同じ団体の中でインターンの配属先が変わっている。初めに配属された団体事務所でほとんどやることがなく、それを知った大学院の先生に

「そんなの、フィールドワークとは言えないわ。」

と憤慨され、フィールドワーク先に配属を変更してもらった・・という転機がこの時だった。

 

 

 そして、同じ時期に学校の先生たちが心配していたのが「ミヤマは授業についていけてないんじゃないか」という問題だった。

上のフィールドワーク問題の時にも、メジと私はソーシャルワーク課程の重鎮のマダム(教授)たち2〜3人の研究室に行くように言われて、いろいろ事情聴取的なことがあったのだが、今回も私はこれまた2人くらいのベテランのマダムの部屋に送られた。・・・もとい、マダムたちは忙しい時間を割いて、一留学生の私の話を聞いて下さった。

 

 実際、これはとってもありがたい話だった。これはほとんど私個人の問題だった・・・英語でのコミュニケーションがうまくできない、ヒンディー語に至ってはからきしダメ、その上しょっちゅう体調を崩す・・。それでも、マダム達は親身になってアドバイスをしてくれた。自分が「ソーシャルワーク課程の一人の学生」として受け入れてもらっているのだとしみじみ感じた。

 

 話をしてくれたマダムの一人、アンジャリ・マダムは黒縁の丸メガネに後ろ一本のおさげが特徴の、私の専攻(子どもと家族)のトップにいる先生だった。マダムはメガネの奥から優しい瞳で語りかけてくれた。

「何年か前にも日本人の留学生がいたわ。彼女も苦労していた。」

エリカさんのことかな?私に東京でTISSの存在を教えてくれた先輩だ。

 

 マダムはだいぶ実際的なアドバイスをしてくれた。

①  英語の資料を読むのに慣れるために、英語の小説を読むこと。まずはうすーい本から読み始める。

②  精神的に楽になるために、カウンセラーにかかること。(学校に「カウンセリング・センター」なるものがあって、5〜6人カウンセラーがいた。インド人学生も結構行っていた。)

③  お腹を壊さないために、ヤクルトを飲むこと。(なんと、インドにもヤクルトがあった・・・!)

 

 ということで、英語の小説は、家に帰って一緒に住んでいたムクタに「Tiny wife」(小さな奥さん)という薄い本を借りて読み始めた。

 

 カウンセリングは、マダムの紹介でソナリという女性(30代半ばくらい)が私の担当になってくれた。カウンセリングを受けるのは初めてだったので、最初はどんなことをするのか分からなくって少し不安だった。けれど、ソナリに

「話したいことをなんでも話せばいいのよ。」

と言われて、少しずつ気にかかっていたことや、誰かに話したかったことを口に出せるようになった。(英語だったから、表現しにくい時もあったけど、ソナリは辛抱強く聞いてくれた。そしてそのやり取りも、英語の練習になっていった。)

 

 本来なら、話し相手になってくれる家族や友達が何人かいれば、カウンセラーは必要ないはずだ。でも、何もかもが新しい環境の中で、ルームメイトのジョーティともお互いを理解し合っている最中で、東京にいる家族とスカイプで話せるのも週1回日曜日の2〜3時間・・という状況だった当時。ソナリの存在はとても大きかった。

 

 ちなみに、ヤクルトは学校から歩いて15分ほどの、ちょっとリッチな雰囲気を醸し出していたラトナ・スーパーマーケットで発見した♪5本セットで50ルピー(約80円)。

 

  

 

 

マダム(教授)たちの研究室や教室がある、ソーシャルワーク棟(3階建)。

ロの字型の建物の中には、南国の緑あふれる中庭がある。

コメント

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    優しい先生がいてよかったですね。もし、放っておかれたら、外国ですから精神的に相当に参ってしまったかもしれませんね。
    私の友人は、フランスに絵の勉強に行きましたが、フランス語が上手くないこともあって友人が出来ず、大学へ行かなくなり、部屋にこもりきりになってしまったと言っていました。

  2. みやま より:

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    >アヨアン・イゴカーさん
    こんにちは。
    そういう方もいらしたんですね。
    ますます先生方の有り難さを感じます…。

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