第1学期(2012年6~10月)⑩学校のゲストハウスにお泊り

 留学生事務所は、まだ住むところの決まっていない留学生のために、ゲストハウスの部屋を予約しておいてくれた。そこが期待(してなかった)に反して、なかなか良いところだった。

 

 私たちが泊まったのは5階の部屋。私はネパール女子のタラと同室。その隣がミランとニッディヤーナン。その隣がアフガン3人組。

部屋に入るとまず手前には左にシャワールームが。(中にあるのはおトイレ、洗面台とシャワー。)

右には大きなカップボード(ロッカーとタンスと金庫が一つになって、それに扉が付いたようなもの)が2つ。部屋の奥にはデスクとパソコン、ソファとテーブル、テレビ、洗濯干し器具に、セミダブルのベッド2つ。パソコンはもちろんインターネット完備!エアコンはなしで、天井に例の扇風機が付いていた。(エアコン付きのお部屋もあったようだけど、そこはもっと高額だった。)

 

 朝6時くらいになるとピンポンが鳴る。ドアを開けるとステンレス製のポットを持ったお兄さんがニコリともせずに、

「チャイ。」

と言ってくる。うなずくと小さな紙コップにチャイをついで渡してくれる。目覚めのお茶ね。そして、新聞も各部屋に届けられる。(タイムズ・オブ・インディアという英字新聞。)ごはんはキャンパス内にある学食に食べに行った。(学食についてはいずれまた。)

 

 シャワーでお湯を出すのは苦労した。ひねり口が二つあるのだけど、色分けもされていないのでどっちが水でお湯なのか分からない。基本的な使い方はお湯の蛇口をひねって、しばらく水を出し続けるとだんだんお湯になる…はずだったのだけど、いくら流し続けても温かくならない(!)時もあった。ひたすら水ばかりジャバジャバ流して罪悪感を感じた。

 

 ちなみに、このようなお部屋とサービスで一人一泊750ルピー(約1200円)。市内のゲストハウスやホテルと比べたら格安だ。(ディライト・ゲストハウスは別次元。)ただし、ムンバイでは750ルピーあったら、素敵な夕飯が3人分払えるくらいの大金だ。

 

***

 そのゲストハウスに私たちは10日間滞在した。留学のしょっぱなの期間だけど、まるで留学のデザートみたいな、甘くて楽しい時間だった。これから迫り来るインドの荒波もまだ届かず、課題の地獄も論文の恐怖すらなく。

 ゲストハウスに落ち着いて、私は東京の母に初めてのメールを送った。部屋のパソコンに日本語ソフトは入っていないので、アルファベット読みの日本語で。

mama rin (^^)v
musume ha genki desuyo—

(2012年6月13日 ※当時私は母のことをままりんと呼んでいた…^^;)

 

 ゲストハウスでの一日の始まりは、さっき書いたようなチャイ兄さんの登場から。

タラも私もぐっすり眠りこんでいるところに、「リンゴン♪」とチャイムが鳴る。タラはピクリともしないので、私が起きて行ってチャイをもらう。それからしばらくは、チャイをすすりつつ、静かな時間。着替えをしたり、新聞を読んだり、持っていったヒンディー語会話本や『勝間和代の日本を変えよう』を読んだりした。

 7時台になってもタラやお隣のミラン達は起きてこない。8時前後にようやく起き始める。南アジアの人々は朝が遅いのかな。私はすでにお腹がグーグー鳴っている。

 8時半ごろ。やっとこさみんなで部屋を出て学食に行く。アフガニスタン人のナゼルは、イスラム教のお祈りの時間にそれがかぶると、テコでも部屋から出てこない。同じアフガン出身のハディとジャマールは気にしていないようだった。ナゼルだけ放置して学食に行った(笑)。

 

 6月11日(月)から13日(水)の三日間は、学校が本格的に始まる前の留学生のオリエンテーションということになっていた。11日が私が初めてTISSに着いて、歓迎ランチ会のあった日。12日はいろいろ説明があるのかしら?と思いきや、

「めいめいラップトップ(ノートパソコン)を持ってきなさい。」

と言われて、それぞれのノートパソコンを学内のwifiに繋げてもらって終了。13日は、ムンバイの外国人登録事務所に車で連れて行ってもらって登録をした。(インドのお役所の本領発揮で、予想通りだいぶ時間がかかった。でも、パソコンの上に設置された小型カメラで写真を撮られて、そこはハイテク♪だと思った。)

 

 食事は基本的には毎回学食で、水は学校内の売店で売ってる1Lのミネラルウォーター(15ルピー、約25円)を買った。そういえば、水はゲストハウスの部屋にも毎日1Lの水ボトルが2本補充されていた。これはミネラルウォーターではなく、ろ過した水。私は最初は手をつけなかったけど、途中から飲み始めた。ミネラルウォーターよりクセはあるものの、飲めた。

 

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