第1学期(2012年6~10月)⑨TISSって、どんな大学院?

 タタ社会科学研究所。Tata Institute of Social Sciences、通称TISS(ティス)はインドのタタ財閥が1936年(インドがイギリスから独立するよりも前)に作った学校だ。

その後、国営になった。今でこそTISSはインド各地(私が知るだけでも6ヶ所)にキャンパスをもつ社会科学系のマンモス大学だけど、創立当初はムンバイに一校だけのソーシャルワークの学校だった。ちなみに、「研究所(institute)」という訳し方だけど結局は大学だ。ただ、ムンバイにあるのは大学院のみ。大学は他のキャンパスにある。

 

 TISSムンバイキャンパスに置かれているのは修士・博士前期・博士後期コース。

私が入ったのはソーシャルワークの修士課程(School of Social Work)で、一番人数が多くて200人ほど学生がいた。

修士課程は他に、親友のジョーが所属した保健(Health School)、卒業後のお給料がべらぼうにいいと噂の人的資源(Human Resources)、カウンセリング、社会起業、開発学、防災、教育、住居、国際化と労働…など、様々な学科があった。

 

 こうして学科名を挙げるごとに、それぞれの学科出身の友達の顔が次々頭に浮かんでいく。

そう、TISSではありがたいことにいろんな友達に恵まれた。「友達の友達は友達!」みたいな学校だった。キャンパス内でばったり会う度に、友達は一緒にいる友達を紹介してくれるし、学食で同じテーブルに座った人と話が始まって友達になることもあった。

 そして、この学校の特徴の一つが、学校中が

Hi, how are you?(やあ、元気?)」

であふれていたこと。どこに行っても友達に会うと、

Hi [私の名前], how are you?(ヤッホー、元気?)」

と聞いてくれた。初めは聞かれるたびに律儀に考えて「まぁまぁかな。」とか「ちょっとカゼ気味。」とか答えていた。実際、同じことばかりいろんな人に尋ねられすぎて億劫に感じた時もあった。

一方で、インド人学生たちのやり取りを見ていると、たいていの場合は

I’m good. How are you?(元気だよ、そっちは?)」

と流している。でも、友達が初めのあいさつでは「元気だよ。」と言ったわりに、あとでいろいろ話しているうちに実はあんまり体調がよくなかった…という時もしばしばあった。つまり、返事は結構いい加減でよかったのだ。ただ、よく聞いていると親友のジョーとかが

I’m ok.(大丈夫よ。)」

と言っている時がある。これは、あんまり具合がよくないサインだ。

ともあれ、学校のみんなと「How are you?」を日々交わすうちに、すっかり私もそれが習慣になっていった。

 

さて、お勉強に話を戻すと、この学校には数多の学科があったけれども、TISSで常に底流にあったのは「社会の発展(Development)のため」という視点だったと思う。

それがありありと感じられたのは、第1学期にすべての学科の修士1年生に必修になっていた「基礎コース」。日本の大学での教養科目みたいなもの。

 

 毎回お題ごとにその道のプロの教授が1年生700人に対してホールで一斉授業をした。お題はカースト・発展・ジェンダーなどなど。興味深いテーマばかりだったのだけど、基礎コースの時間割は毎週水・木曜日のランチ後14時から1コマ2時間×2コマの長時間&超大人数授業。ということで、私も含めて睡魔に勝てない学生が毎回続出。うーん、ぜいたくな話…。

 

 

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