2012年6月21日(木)。この日から本格的にソーシャルワークの授業が始まった。
前日に学校のゲストハウスから、下宿先のマイソール・コロニーの家に引っ越していたので、今日からは毎朝学校までオートリキシャに乗って片道15分通学だ。
朝は7時半に起きて、朝ご飯は昨日の夕飯の残り。
銀色の丸いステンレス製のお弁当箱が何層も重なった、インド料理の出前。入ってるのは白ごはん(ただし長粒種)や、チャパティ(プレーンなごはん用クレープ)、辛かったり酸っぱかったりする野菜の炒め物、それと似たような味のスープ(カレー?)、そして真っ赤な酸っぱいピクルス。慣れていないのであんまり食が進まない。『早いとこ、スーパーを見つけて自炊しないと…。』
ちなみに、お皿やスプーン・フォークはキッチンに備え付けのを使える。包丁やまな板、お鍋などもたいてい一式揃っていた。ビバ家具付き物件!あと、マイ箸も東京から持ってきた。
私がリビングで食べている間、ルームメイトのジョーティはその横のバスルームで朝シャワー。(インド人は圧倒的に朝シャワー派が多い。)
「ごちそーさまでした。」
食べ終わって、キッチンにお皿を持っていく。本当は、メイドさんが片付けをしてくれるから、シンクに使ったお皿を置きっぱにしていっていいのだけど、なんとなく悪い気がして(日本人ですね。笑)、お皿を洗った。
「ジョー、朝ご飯食べないの?」
「授業の間に売店で買うわ。」
9時からの1時間目に間に合うように、8:45くらいに家を出発。
まずはマイソール・コロニーを出ないと、オートリキシャを拾えない。私たちの下宿先はコロニーのほぼ一番奥に位置しているため、まず家を出てゲートまで5分弱歩く。黄色いブロックの敷かれた閑静な住宅街。左右の家々はどれも人の手の行き届いた素敵な豪邸ばかり。見ていて飽きない。道端にも豪邸のお庭にも、ヤシの木や濃いピンク色の花々、名前も知らない南国の植物が生命力たっぷりに生い茂っている。
マイソール・コロニーのゲートを抜けると、右手側にマンデル(お寺)があって、その脇でオートリキシャやタクシーが客待ちをしている。先頭のオートの後部座席に乗り込んで、ジョーがドライバーのお兄ちゃんに言う。
「ディオナー(学校の地名)。」
ドライバーさんは頷いて、ブブーンとエンジンをかけてオートは道路に飛び出していく。
大学院まではオートで15分ほどで到着。行きの運賃は私が払った。40ルピー(約75円)也。
「Good morning!」
校門横の紺の制服を着た守衛さん達にあいさつすると、とびきりの笑顔で「Good morning!」と返してくれる。
門を入った道の両側は、これまた南国植物が所狭しと茂る森。そこから右に歩いて30秒くらいのところに学校の受付と、「クワドラングル」(四角形)と呼ばれるロビー的な場所がある。クワドラングルは、その真ん中に四角い芝生スペースがあって、その周りをぐるりと4つの回廊が囲んでいる。
ジョーの保健専攻はその回廊沿いに教室があって、私のソーシャルワーク専攻は、その左奥に棟がある。だから、ジョーとはクワドラングルでお別れ。
「よい一日をね、ミヤ。」
「ジョーもね。」
「帰るとき、連絡してね!一緒に行くから。」(※その方がお互い交通費の節約になる)
「うん!」
さて、それではここでタタ社会科学研究所ソーシャルワーク修士1年生の時間割(第1学期)をお見せしましょう。
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | |
9-11時 | ※終日学校の外でフィールドワーク | ※終日学校の外でフィールドワーク | ※午前中のどこかで、担当の先生とフィールドワークの振り返り | グループ ワーク | ソーシャルワークの歴史ととらえ方 | (なし。基礎コースが予定されてたが、キャンセルされた。) |
11–13時 | ケースワーク | ソーシャルワークの量的調査方法 | 専攻ごとの科目。私のいた「子供と家族」専攻は『インドの子供たちの状況』 | |||
14–16時 | 基礎コース | 基礎コース | (このコマは、1学期にはいろんなオリエンテーションがあった) | 英語 | ||
16–18時 | 基礎コース | 基礎コース | 英語(英語が苦手な学生向け) | (なし) |
これを見ると、休み時間がほとんどないように見えるけど、そんなことは全くない(断言)。そもそも、1時間目は9時ぴったりに始まらない。インド人学生は三々五々集まってきてようやく9:10頃に全員集合、もしくはもう少し遅れる人もいる。先生も、よっぽどきっちりしている先生でない限りぴったりの時間には来ない。
そして、2時間のコマの間でたいてい真ん中にブレイク(休憩)が入る。先生がそれなしで続けようとすると、学生が、
「マム、ブレイク。(先生、休憩をください)」
と催促する。
ランチタイムは13時から1時間。たいていみんな食堂で30ルピー(約50円)の定食を食べるか、売店に行く。
木・金曜午後の基礎コースというのは、すべての専攻の修士1年生必修の授業。一コマずついろんな先生方がインドの発展や社会問題について紹介してくださる、ありがたーい時間…のはずが、先生1人対学生700人のクーラーの効いたホールでのお昼寝時間…になってしまうこともままあった。というか、私も授業を聞いていたはずなのに、いつの間にか寝落ちしてた…なんていう時がございました。ほほほ。
1学期の時間割で面白かったのは、英語クラスがなくなった事件。金曜と土曜の英語クラスは、内容が簡単すぎる上に他の科目で学生たちが既に疲れ切っていて、私も含めてみんな嫌がっていた。お終いには学生たちがソーシャルワークの学部長に直訴したり、授業をボイコットしだす人が増えて、8月の下旬には学校が正式に英語クラスを廃止した。こういう、思ったことを最後には実現してしまうインド人学生の行動力はすごいなぁ…。
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