第1学期(2012年6~10月)⑯ソーシャルワークって何?

 さて、これからいよいよ第1学期(第1セメスター)のソーシャルワーク修士課程の授業について書いていくぞー!…という前に。

「結局、アンタ何を勉強しにインド行ったの?」

というお話。

これを読んでくださっている方の中には、

「ソーシャルワークってなんじゃ?」

と思われている方が多々いらっしゃるのではないでしょうか。

…ということで、まずはソーシャルワークについて簡単に。

 

 

ソーシャルワークはざっくり言うと、社会福祉のお仕事。

そもそも、私も長い間この言葉を知らなかった。

10代の頃からずっと国際協力に興味があって、社会人になってやっとインド留学が自分の計画として浮上してきた時、一足先にデリー大学の大学院に留学していた齋藤くんから、

「国際協力に関する学問では、理論を重視するのが開発学、現場を重視するのがソーシャルワーク。」

だと教えてもらった。

 

もともと私がインドを留学先に選んだのも、貧困問題の現場で、将来自分にできることを考えたかったから。だから、実際はソーシャルワークが何たるかもほとんど知らずにその学部に飛びついた。

留学前に地元の図書館でソーシャルワークについて調べてみて、初めてそれが社会福祉分野の話だと知った。ただ、国によってソーシャルワークが解決しようとしていることは違うんだな、と私は留学して思った。

私の解釈では、ソーシャルワークが支援しようとしている相手は、その国で「困っている人」。(大野更紗さんの『困ってるひと』と何か通じるかもしれない。でも、残念なことにその本は今実家にあるので確認できない…。)

で、「困っている人」は国や地域によって異なる。日本では病気や障がいのある人、貧困状態にある人など。インドでは、もっと根源的に、衣食住に事欠く人や、教育・仕事の機会を奪われている人がまだ多くいる。そして、それはカースト制度や部族・宗教の違いとも密接に関わっている。

 

うちの大学院TISSのソーシャルワーク修士課程では、当時それを9つの切り口で学科に分けて、追及しようとしていた。

 

①M.A. Social Work with Children and Families (子どもと家族)

私の専攻はこちら。扱うトピックはさまざま。私は最終的に、義務教育レベルの学校からの落ちこぼれ(けっこうな率でドロップアウトしてる)の問題を論文にした。

他にクラスメイトが論文のお題にしていたのは、ある地域でのカーストの状況・下層カーストの家庭の子供の就く仕事・インドの女子高生の職業観・父親の役割・児童労働など。子供と家族が少しでも関係していて、それについて調査することの必要性を説明できたなら何でもあり。

この専攻での授業はたとえば、「インドの子供の状況について」「インドの家族について」「インドの子供たち/家族が直面している問題」「子供・家族とのソーシャルワーク技術」などがあった。

 

②M.A. Social Work in Criminology and Justice (犯罪学と正義)

この専攻は法律(特に刑法)とかが絡んでくるイメージ。刑務所にも見学に行っていた。この専攻の友達の一人は、物乞いについて論文を書いてた。(インドで物乞いは犯罪なので、警察に捕まると矯正施設に送られる。)

 

③M.A. Social Work in Community Organisation and Development (地域共同体の組織の方法と発展)

コミュニティ(村や地域)を巻き込んで活動をしていきたい人向け。この専攻は2年間で2回以上、数週間の農村フィールドワークに遠征していた。(私の専攻は農村実習は1度だけ。)

 

④M.A. Social Work in Dalit and Tribal Studies and Action

(不可触民と部族) 

これはインドならでは。歴史的に差別・搾取されてきた下位カーストや、部族の人たちの問題を取り扱う専攻。

 

⑤M.A. Social Work in Disability Studies and Action

(障がい者) 

これは分かりやすい専攻。インドでの障害者のケアは日本と比べると格段に行き届いてない。実際に目が見えない男の子がこの専攻に在籍していた。同じ専攻の人だけでなく学校中の人がいろんな場面で彼に手を差し伸べていて、心が温まった。

 

⑥M.A. Social Work in Livelihoods and Entrepreneurship

(生計の手段と起業)

わりと新しい専攻。生きていくにはお金が必要。そのための仕事をどうするか。インドでは多くのNGOが職業訓練をやっているけれど、それはこの「生計の(ための)手段」という考え方から来るもの。

 

⑦M.A. Social Work in Mental Health (メンタルヘルス)

正直、この専攻については理解が薄い。(ごめんなさい。)ただ、精神的な健康(メンタルヘルス)はうつ病を始めとして心を病む人が多い日本でも、ケアが大事な分野だと思う。確かここ専攻の子がアルコール依存症について研究していた。

 

⑧M.A. Social Work in Public Health (公衆衛生)

この専攻についてもよく分かっていません。一つ言えるのは、インドでは日本で充実しているような健康保健制度が整っていない。母子保健センターみたいなものはあるけれど、それも質・量ともに不足している。保険証もなし。だから病気になるとお金のない人は大変。…というような話ではないかと。

 

⑨M.A. Social Work in Women-Centred Practice (女性を中心にとらえた実践) 

インドの女性の地位は日本以上に低い。(これは宗教的・文化的な理由も大いに絡んでいる。)ドメスティック・バイオレンスも多いし、女性に対する性犯罪も後を絶たない。この専攻で高齢者に絡めて論文を書いた同級生もいた。

 

 

これ以外で、同じマハラーシュトラ州内にあるTISSトゥルジャプール キャンパス(ムンバイから数百キロ離れた、農村地帯の真っただ中にある校舎)でMA in Social work in Rural Development(農村開発)もあった。私と入れ違いの年にそこに入学した日本人の女の子がいた。

 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です