第1学期(2012年6~10月)⑤うなぎの寝床ゲストハウス

 カウンターの奥が客室だった。中で食事も提供しているらしい。(そんなに広そうに見えないんだけど。)さっきから10代後半くらいのやせた少年(きっとお宿のボーイさん)がスーツケースを運んだり、お客さんが出入りしたりしていた。真っ黒なブルカを着たイスラム教の女性もいた。カウンターのおじさんが、部屋のキーをさっきの少年に渡す。彼は私のスーツケースを押して部屋まで案内してくれた。

 薄暗く細い廊下の両側に、たくさんのドアが並んでいる。ドアのすぐ隣にドアが並んでる、と言った感じ。つまり、一つずつの部屋がとても狭いわけだ。少年が私の「部屋」のドアの鍵を開けて、中にスーツケースを押し込んでくれた。

私「サンキュー。」

少年「ウェルカム。」

インドの人はこのやり取りに慣れている。彼らにとっては、「サンキュー」と言われればこう返すのは反射条件みたいなもんだ。でも、「ウェルカム」(歓迎だよ!)と言ってもらうのはいつもなんとなく嬉しい。思わず笑顔になっちゃう。

 

 部屋は、うなぎの寝床みたいに細長かった。タテ3メートル、ヨコ1.5メートルほど。そこに細いベッドが1台。頭上に大きなファン(扇風機)が1台。以上。ついでに言うと、たいへん蒸し暑い。

 ドア横のスイッチで扇風機を点けた。長い3枚の羽根がぶるんぶるん回転し始める。強風すぎて私には寒い。(ちなみに、インドの扇風機だってたいてい風量は調節できるのだが、そこのはできなかった。)扇風機を止める。むしあつい。ドアを少し透かしてみる…。廊下では古いクーラーが動いていて少しひんやりしていた。それでも扇風機なしでは汗がにじみ出てくる。けど点けると寒い…笑。寝る時なんてどうすりゃいいんだか。湿気を我慢するか、扇風機の寒さを我慢するか。とにかく私は冷えると動けなくなってしまうので、スーツケースから扇子を引っぱり出してぱたぱた扇いだ。

 少し落ち着いてからシャワールームに行った。水のシャワーしか出ないであろうことは覚悟していた。その2年前、バラナシで泊まったゲストハウスの「ホットシャワー」がホットでもなんでもなかったからだ。そのはずが…。しばらく水を出していたら、なんとなく温かくなってきて…奇跡だ!お湯になった!!

「やるじゃん。ゲストハウス!」

一人で感動してはしゃいだ。昨晩汗まみれになった服も手洗いした。

 15時くらいにはお昼ごはんも頼んでみた。

シャワールームの隣に小さなキッチンがあって、手前にこれまた小さな机が置いてあり、そこに英語のメニューが出ていた。注文をすると、そこで作ってトレーに乗せて部屋まで持ってきてくれた。お昼はゆで卵サンドイッチとチキンスープで合計120ルピー(200円弱)。普通においしかった。味も辛くなかった。水はミネラルウォーターの1リットルボトルがあって、20ルピー(約30円)で買った。

 本当は、落ち着いてから外に出てみたかったのだけれど、翌日からきっと動きまくるのだから今日くらいはまったりすることにした。持ってきたノートに落書きしたり、洗濯物の乾き具合を気にしたりした。(結局、一晩では乾かなくて、翌日バスタオルにくるんで移動して、学校のゲストハウスで干しなおした。)

雨期のせいでとにかく蒸し暑くて『熱中症で死んだらどうしよう。』とひそかに危惧していた。

夕飯は中身も分からずにカレーを試してみた。「アルゴビ」じゃがいもとカリフラワーのカレーだった。わりと辛かったけど、おいしかった。130ルピー(約200円)。

 夜は、快適に寝る方法をあーだこーだと試行錯誤した結果、天井の扇風機をつけてベッドに横たわり、持ってきた折り畳み傘をさして直風をよけながら寝る…という裏技を編み出した。おやすみ、うなぎさんたち。ワタシも傘をさしたうなぎ。

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