9月15日土曜日。
土曜の時間割は9〜13時で、学長パラスラマン先生の授業「インドの子どもたちの状況」。時間割はそうなっていても、たいてい先生たちは1〜2時間おきに「休憩を取ろう。」と言って10分ほど休ませてくれる。(先生がそう言ってくれない時は、学生が「先生、休憩。」と言って要求する。)
パラスラマン先生は、入学オリエンテーションにも登場した柔和な紳士。ソフトな語り口で終始喋り、のってくると(?)壇上で靴を脱いで裸足で授業を続ける。(靴下は元々履いていないらしい。)
さて、その日はフィールドワーク仲間のメジがお昼ご飯に誘ってくれていた。
「豚肉を料理するから家においで。」って。ということで、初めてメジの下宿先に行った時のお話。
メジの住んでいたアパートメントは、学校の裏手から歩いて5分。メジの学科(障害とソーシャルワーク)は土曜日に授業がなかったので、家にいるメジに電話で道案内してもらいながらお宅訪問した。(インドの携帯は通話料1分1ルピー(約1.6円)なので、あんまり通話時間を気にせずに話していられる。)
アパートメントは上り坂の中腹にあった。真新しい10階建くらいのいわゆる「マンション」。まず入り口の横の守衛小屋にいるウォッチマンのおじさんに
「202。」
と行き先を告げてから建物に入る。エレベーターホールもきれい。しかも、エレベーターの扉が手動じゃない!(笑)日本人にも馴染みのある、「普通」のエレベーター。
メジの住まいはインドでは「3BHK」と言って、バスルーム(お風呂)の付いた個室3つ+ホール(リビング)+キッチンという作りになっていた。たいてい学生は一部屋を2人でシェアするので、普通は3BHKだと6人住まいになる。けれど、そこでは一部屋だけ女の子が1人で住んでいたので、5人世帯だった。その一人で二人分の部屋に住んでいたのが私のクラスメイトのバワナ。お父さんが工場か何かを経営しているらしいお嬢さまだ。(ちなみに、そこのアパートメントの一部屋の家賃は13,000ルピー。約20,800円。メジはそれをルームメイトと半分ずつ負担していた。)
さて、到着した時まだメジは料理中だった。彼女以外の女の子たちはみんな出払っていた。メジは自分の部屋に私を案内してくれた。部屋は5畳くらい。シングルベッドとカップボード(扉付きのタンス)、ドレッサーが一つずつあった。カップボードには所狭しと写真やメッセージの書かれた紙が貼ってあった。インドの女の子は、部屋にいろいろ飾るのが好きだ。
メジがベッドをぽんぽん叩きながら言った。
「リラックスして。横になってていいよ。」
「オーケー。」
メジは台所に戻っていった。
横になれ、と言われても、日中横になる習慣がないのでちょっと戸惑う。ともかく、ベッドの上に座ってなんやかや物色していた。そうこうしている内に、
「ミヤマー、ご飯ができたよ。」
今日のおかずはジャガイモ・豚肉を唐辛子やスパイスと炒めにしたもの。それと白ご飯を混ぜながら食べる。
「いただきます!」
「チリ(唐辛子)はなるべく使わないようにしたからね。」
メジは辛いのが苦手な私に気を使ってくれた。美味しかった。
食べ終わって、またメジが言った。
「Lie down, sleep for some time.(横になって、少し寝な。)」
友達に家に行って寝る、というのは、それまで私の常識ではありえなかった。でも、食事の後で眠くなっていたので、素直にそうした。
「ちゃんと寝っ転がって。枕も使っていいよ。」
メジはとことん、気持ちよく眠らせようとしてくれた。
「・・ありがと・・。」
それで2時間くらい昼寝した。
目が覚めた時、だいぶ体が休まっていた。授業でコックリ居眠りしたり、図書館で机の上につっぷして寝るのとでは回復度合いがはるかに違う。
『これからは、疲れた時はちょっと横になろう。』と思った。
日本人の感覚からすると、昼寝するのは「時間がもったいない」「怠け者だ」という印象があるかもしれない。友達のところに遊びに行って寝るなんて「失礼だ」と思うかもしれない。
でもインドは1年の大半が夏だ。疲れも溜まりやすい。それに、その後他のいろんなインド人友達の部屋や家に行っても、よく「横になりたい?」「横になっていいよ」と言われた。自分の部屋や家で友達を眠らせるのは、彼らには普通のことなのだ。
メジからは、こんな風にして休息の取り方を教わった。
メジのお家ではないけれど、例えばインドのアパートメントはこんな感じ。
コメント
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友達のうちで昼寝、こういうのは良いですね。
20~30分の昼寝、身体休めは仕事の能率がずっと上るという研究結果もありますし、実際に、ちょっとでも眠い時に睡眠を取ると作業効率が一挙に上りますね。
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>アヨアン・イゴカーさん
はい。たまに寝すぎてしまいますが。笑