【インドの友人サムの本音紹介】コロナ禍で、カーストについてじっくり考えてみた。

今回、新型コロナウイルス感染拡大に伴うインドのロックダウンは3月25日から5月末まででした。現在は段階的に制限が解除されてるようですが、感染者数も増え続けているため、まだあまり外出していない友達もいます。

ロックダウンが始まって間もない頃、留学時代の友達サム(本名サマードゥリタ。女子です。)が、これから紹介する投稿をFacebookに載せていました。


農村実習でサムと。(2013年・オリッサ州)

サムはコルカタ(カルカッタ)出身。現在20代後半。大学院では私と同じクラス(子供と家族のソーシャルワーク)で、1年目のフィールドワークも、1年目の終わりの農村実習にも一緒に行った、大事な友達の1人です。

彼女はとっても知的で語彙が豊富。サムの英語は正直聞き取りにくいこともよくあったけど、クラスの中で頻繁に発言する1人でした。

実際、ソーシャルワーク修士の2年間が終わって、私たちのクラス「子供と家族」(26名いました)の成績トップと修士論文優秀賞の両方をかっさらったのは彼女。

そんなサムと、在学中にカーストについて話すことは稀でした。(他の友人とも、あんまり積極的にはカーストについて話していません。後述のように、重要な問題なのに「見て見ぬふりをする」ことが多いトピックだったのです。授業ではしょっちゅう出てくる話題でしたが。)

サムが一度、

「私は後進カーストの出身よ。」

と言っていたので、私は彼女はいわゆるOBC(その他後進階級)あたりかと思っていました。(お父さんも社長だし。←私たちのクラスメイトに、OBC出身でやはり父親が社長という女の子がいたので、なんとなく『OBCは経済的にブイブイ言わせてるのかな。』という感覚がありました。)

でも、今回の投稿で分かったのですが、どうやら彼女は指定カースト、つまりかつては不可触民と呼ばれた、4つのカーストよりも下の身分の生まれだったようです。(カーストについて基本的なおさらいから読みたい方は、こちらの記事をどうぞ。)

さて、前置きはこのくらいにして、彼女の投稿をシェアします。

(本人了承済み。インド友達の間でも一時期話題になっていた投稿で、たくさんのコメント投稿やシェアがされていました。)


※訳について

  • 日本語訳では改行を多めにしています。
  • 原文の段落は■で表示しました。
  • 原文通りに訳して意味が通りにくい部分には、言葉を足してあります。
  • 私が調べきれず、分からなかった部分には(★)を付けました。サム本人に問い合わせ中なんですが、なかなか返事が来ないのでまずはこのまま載せます。回答があり次第、アップデートします!

サマードゥリタ・ダス

2020年3月28日 18:54

■長い投稿を書こうと考えて、いったん止めようと思った。でもやっぱり、私たちは普段目を背けてることに向き合うことを学んだ方がいい。


■ある時、教授が授業で「カーストは変えられないものです。」と言った。

私はその後、それについてずいぶん長く考えたし、何日か眠れない夜も過ごした。

その間、たくさんあった黒歴史もトラウマ全ても思い出した。それについては語りません。


■私がひとつ自分の経験から言えるのは、カーストはいつも酷いものという訳じゃなくて、常に目に見える暴力の形ではない、ということ。

つまりそれは、もしある所になんとかたどり着いたとしても、あなたはそこには属さない、該当しないよ、という控えめな提案になる。

それは例えばあなたが読む物語、あなたが聴く歌、あなたが話す言語…それらが、どのように関係ないか、ということ。

それはまさにこういう事。 カーストを個人的なものにし、そこから政治性をはぎ取り、あなたは自分が体現するもの、体現してきた全てのものについてあなた、そう、あなただけに責任があると言っているの。


■「私はそうじゃなかった。見聞きしてきたものとは関係なかった。」(笑顔マーク。)この考えに落ち着くまで、私の場合21年かかった。でも、これでもう苦しまないでいいのとは違う。


■私はまだ普段「あら、あなたは指定カーストっぽく見えないね。」とか「あなたは私の唯一の指定カーストの友達よ。」って言われて苦しむだろう。まだまだ先は長い。


■私はこれからはもうこの話題について気にしないかもしれない。けど、今回は読んでる君にとってショックだったかも。あしからず。(笑顔マーク)


■で、もしこの投稿が君にとって不快だったら、成功。一度くらいはハッピーな写真の投稿だけしてたくなくて。



「大学の中のカースト思想」ビンゴ


(サムがチェックしたところに✅マークが付いています。)

✅下手な英語/粗末な服を嘲笑された✅「留保制度は所得ベースで行うべき」苗字を尋ねられた(苗字はカーストを表している)指定カースト・指定部族・イスラム教徒でドロップアウトした友達がいた
✅学業をバカバカしく思った✅ロヒートに憤った(カースト差別によって院生が自殺した事件)団体・友達グループに入ったことがない✅両親に対して絶望感を隠した
✅教授が差別的なカースト発言をしたのを聞いた✅自分の意見に合う政治からは置いてけぼりにされていると思う✅BRAが全然学ばれてなくてガッカリ(★)✅悪口で「チャマー」(指定カーストの一つ)という言葉を聞いたことがある
ガンディーを嫌いになり始めた自分のカーストコミュニティとの距離が近くなった✅黒人アーティストに慰めを覚えた✅バラモン〜シュードラの人達の2倍は苦闘してきた


ここからは私なりのまとめですが。

サムは指定カーストという出自のために、インド中の指定カーストの人々がそうだったように、やっぱりいわれのない差別に苦しんできた。

けれど、世間で言われている差別やいろいろなケース全てに、彼女が該当する訳じゃなかった。

…ということに、大学院生になってやっと気づいた。

まだまだ苦しい日々が続くことも予想しつつ。

…ってことなのかな、と。

(「ねぇ、読み方ちょっとズレてるんじゃない?」「こういう解釈の仕方もあるんじゃないかな。」と思った方は、ぜひメッセージ欄からご指摘ください。何かご意見・コメントがある方も、お気軽に聞かせてください。メッセージ欄はこちら。ちなみに、ブログ記事のコメント欄は、スパムが来ることが多いので現在閉じています。)


最後に。

インドで行ったのがソーシャルワーク(社会福祉)大学院だったために、カーストの話はほぼ毎日どこかで耳にしていました。(カーストは、インドでは差別・貧困・社会的な不利益と切っても切り離せないトピックの一つ。)

留学期間を経て、改めてカーストについてじっくり同級生のことばに触れるのは、とてもありがたい機会でした。サムに感謝。

ちなみに私は、サムが指定カースト出身だった、という事実を改めて知った訳ですが、個人的な反応としてはちょっと驚いたものの「あぁ、そうだったのね。」という感じです。

私の大学院の友人の中で、彼女は「初めての指定カースト出身の友達」じゃありません。私にはサム以外に指定カーストの友達も指定部族の友達も、OBC(その他後進カースト)の友達も、もちろんバラモンなどの上位カーストの友達もいます。

私がインドの友達と関わる中で、(自分は外国人だからというのもあると思いますが)カーストは関係ありません。大事なのは本人の人間性。

サムは思いやりがあって聡明で、他のインド人友達と同じように部屋がぐちゃぐちゃで、他のインド人友達みたく写真やフェイスブックが大好きな1人の女の子です。

インドの友人たちは、それぞれのカーストに属しながら、どんなことを思っているのでしょう?非常に繊細な話なので、友人たちとのご縁を大切にしつつ、引き出せるところで本音を聞いていけたら…と思います。

今後も、折に触れてレポートしていきます。

ここまで読んでくださって、どうもありがとうございました!