わすれられない

週に何度か通る府中駅近くの階段を、そのおっちゃんは寝床にしていました。


夏も、冬も、昼間通る時はいないけれど、夜になると戻ってきて階段に座って夜を過ごす


そのおっちゃんの前を、私はいつも少し複雑な気持ちで通ってた


私の靴は大抵ヒールなので、近くを通るとコツコツ高い音が響く


きっとうるさいよなぁ、睡眠妨害だよな、それとも慣れちゃって気にしてないかな、

そんなことばかり考えながらなるべく静かに歩くようにしていた



今年の冬は、無駄に寒がりな私にとって寒い寒い冬。

おっちゃんも寒いよなぁ、大丈夫かなぁ、私がもっと寒さに強かったら、このマフラーかけてあげるのに。(到底できっこない)


そして先月下旬くらいのことです。

いつものように夜、おっちゃんのいる階段の前を通った。


おっちゃんが、いなかった。


どこかほかの暖かい場所を見つけて移動したのかな?


それから1週間以内にまた通った時も、いなかった。


やっぱり別の場所にいるのかな?




先月末、妹と一緒に近くを通りかけた時、妹に言ったんだ。

最近、あそこの階段で寝てたおっちゃんがいないんだよね、どこに行ったのかなぁ、


そう言いながら、階段の前にさしかかった。


「あれ、花束?」


いやな予感。

小さな花束がいくつか、おっちゃんが座って眠っていたはずの場所に。


「・・・。」


二人で絶句。そういうことだったのか・・・。


数日後通った時には、小さなお酒の缶も置いてあった。


前よりも一層複雑な気分でその階段の前を通る。

いろいろ考えてしまう。


私一人で背負いきれる問題でもない、でも、考えてしまう。

おっちゃんの存在を知っていた人はたくさんいたはずだ。何か出来なかったんだろうか?おっちゃんはもしかしたら自分で選択してああいう道を進んだのかもしれない。でも、何かおもくてもやもやした気持ちがわだかまる。


おっちゃんが今、あたたかくて心安らぐ場所で休めていますように。

5件のコメント

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    私は以前、そのような方を支援する施設で働いていました。
    フィールドワークをして、生の声を聞いたこともありました。
    みやまさんは、おっちゃんから、受け取ったものは何なのでしょうか?
    花束やお酒を置いた方達は、おっちゃんから何を受け取っていたのでしょうか?
    ぜひ教えてほしいなと想いました。
    おっちゃんはきっとあの世からこの自分が寝床にしていたところの今の様子を、ちゃんと見ているだろうな、と思いつつコメントさせていただきます。

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    >トムソンさん
    コメントありがとうございます。
    私がおっちゃんから受け取ったもの・・難しいですね。
    でも、これを機会に自分の町でこうゆうおっちゃんたちについてどういう対応をしているのか、とか詳しく知りたいと思いました。

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    >みやまさん
    民間のボランティア(教会・支援団体・NPO)が多いかと思います。
    行政の援助を拒む方も多いです。生活保護に掛かるとなると、束縛も増え、それを拒む方が多いからです。また人との関わりが増えるのも嫌みたいです。
    ホームレスでありながらにして援助していけるような関係が理想なのかもしれないですね。難しいですが。

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    >トムソンさん
    遅くなりましたが、ありがとうございました。
    自分なりにこれからも関心を持って勉強していきたいです。

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    >トムソンさん
    遅くなりましたが、ありがとうございました。
    自分なりにこれからも関心を持って勉強していきたいです。

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